日本を代表する美容整形外科、高須クリニック。「イエス!高須クリニック!」でお馴染みですね。
その高須クリニックの院長、高須克弥さんは、政治的にかなり右寄りな思想を持っていることでも有名です。まぁ、右回りだろうと左回りだろうと個人の思想は個人の自由なのですが、高須院長の場合、その思想の一つにナチス賛美というものがあります。
今回、そのナチス賛美についてわりとネットの話題を騒がせているので、経緯などをまとめてみましょう。
ハイル ヒトラー
高須院長の公式ブログから引用。2009年と、かなり昔の記事です。
なかなかにどストレートなタイトルで始まる記事でびっくりしますが、正真正銘、高須院長の公式ブログです。ハイル ヒトラー、ヒトラーを称える有名なセリフですね。日本人に分かりやすい言葉に言い換えると「天皇陛下万歳!」みたいなもんです。これのナチスバージョンです。
また、同じく公式ブログのこちらの記事では、「ヒトラーは本物の愛国者であると確信した」「ヒトラーの主張に賛成だ」といった内容の発言をされています。これも2009年の記事ですね。
他にも、ツイッターの発言でも「♪盟友ナチス♪」、「南京もアウシュビッツも捏造だと思う」、「アンネの日記はボールペンで書かれています(だから捏造だ)」、などの発言もあり、全面的にナチスを擁護・信仰・称賛し、ホロコーストを否認しているとしか解釈できない言動が目立ちます。
比較的古い発言が多いのですが、まぁ日本では「ナチス好き」と言ってもあまり問題視されることがありませんね。無宗教の人が多い国ですしね。私も正直に言ってナチス問題については特に興味がないです。ですが、ナチスは絶対悪であり決して容認されてはいけないというのが国際社会での常識になっています。国連では全会一致で「「ホロコーストの否定」に対する非難決議」が採択されています。これはホロコーストが歴史的事実であるという認識の一部もしくはすべてを否定するいかなる行為も認めないように、全加盟国に求めるというものです。もちろん日本も同意しています。[参考記事]。国によってはホロコーストを否認することは犯罪になる場合もあります。尚、日本ではそうではありません。
これを言うと色々なところから怒られるのですが、究極的な話、ナチスが絶対悪である理由は、第二次世界大戦で勝利した連合国軍の敵だったからだと私は思います。勝てば官軍、負ければ賊軍です。勝利したのが連合国だから、ナチスや大日本帝国は絶対悪なのです。もし歴史が違ってナチスや大日本帝国が勝利していれば、逆に連合国軍こそ絶対悪だったという世界になっているでしょう。戦争ですから、勝った方が正義になります。
ことの発端はエストニア在住の大学生
さて、国際社会においてナチスは絶対悪であり、ナチスを信仰する発言をすることは大きな問題となります。そして高須院長の発言について問題視した方がいました。エストニア在住の木野寿紀さんです[ブログ]。高須院長の発言について触れている最初のブログ記事はコチラだと思います。
高須院長の発言を問題視した彼は、有名な「イエス!高須クリニック」をもじり、「ナチス!高須クリニック」というツイートをしました。これはリツイートが重なり、最終的に高須院長の目に留まりました。これを受けて高須院長は「訴えようかな」と発言しました。ええ、ナチスに絡められて呼ばれるのは明らかに名誉毀損や侮辱などになるでしょうから、高須院長には訴える権利があって当然です。そう呼ばれる原因が、高須院長自らのナチス信仰発言にあったとしてもです。事実でも名誉毀損は成立するというのは有名ですね。
そしてこの頃より、インターネット、とくに2chのような匿名の場では「ナチ須クリニック」などの蔑称がどんどん書かれていったようです。マウントを取って誰かを叩くのが大好きなのが日本のネット文化ですから、ナチスを賛美し、ホロコーストを否認している高須院長は格好の餌となったのでしょう。
※誤解のないように念のため書いて起きますが、私は、高須院長の発言は決して許されるものではないと思いますが、同時に、だからと言ってクリニックをナチス呼ばわりしてもいけないと思っています。人を裁いていいのは司法であり、私刑は許されません。私はネットリンチ、ネット私刑反対派です。これについては当ブログの過去記事を探して読んでくださいね。
木野さんのツイートは決して褒められるものではありません。私もそう思います。しかしそう言われる原因は高須院長にあり、またその高須院長が「訴えようかな」と挑発と取れる発言――少なくともナチス賛美の発言の撤回はしない――をしていることから、木野さんは徹底的に戦うことにしたようです。木野さんは高須院長の発言を英訳して海外へと発信することにしました。ナチス問題に強く反応するのは海外ですからね。そして英訳したブログ記事を書き、それをツイートしました[該当ツイート]。このツイートは有田参議院議員の目に留まり、有田参議院議員は下記のツイートを行います。
歴史的、国際的に完全に「アウト」(「だめになる」=「角川必携国語辞典」。「広義では失格・失敗、だめ」=「新明解国語辞典」)です。 https://t.co/3iGaGalatp
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2017年8月22日
国際社会では、ヒトラーを賛美しホロコーストを否認することは決して許されないので、この発言は至極普通のものでしょう。
息子が止めるが、無駄だった
ヒトラーやナチスの称賛は国際社会において決して許されないのですが、それでも称賛したいというのであれば、それは個人の自由です。日本では特に大きな問題にもなりません。犯罪でもありません。ですが一般的に良いイメージはないため、高須クリニックとナチスを同一視されるという風評被害を恐れた高須力弥さん(高須院長の息子)は、下記引用の発言をします。
高須克弥院長のイデオロギーと高須クリニックの方針は全く別ですので、高須クリニックをナチスと同一視するのはやめて下さるようお願いいたします。
まぁ、当然ですね。院長個人の思想=クリニックの方針であるとは断言できないでしょう。あくまでも個人の思想です。が、残念ながらこの発言は削除となりました。
高須院長は、「力弥さんが例のツイートを削除したということは,高須克弥氏の意見がクリニックの総意と考えていいのか」という質問について「そうです」と回答します[該当ツイート]。また次のようなツイートもしています。
力弥君は頭がいいので全てを理解しました。
親子の間にイデオロギーの相違はありません。なう https://t.co/T8c1UXIEN0— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2017年8月22日
その後力弥さんは、「医療関係者がナチスを賛美するとかありえない」系のツイートを黙々とリツイートし続けており、暴走しているとしか思えない父への無言の抵抗をしている姿が見て取れます。
高須院長が変な思い込みをする
この時、高須院長に「ナチスクリニックと呼んでいる人たちは”しばき隊”だ。その黒幕は”有田芳生”だ。」と語りかけた人がいました。(すみません、該当ツイートのURLを紛失してしまい、ここソースとなるURLを記載することができません)。おそらくネトウヨと呼ばれる人々でしょう。高須院長は最初に述べたようにとても右翼的な思想を持っていますため、彼の支持者もまた右翼思想が高く、ネトウヨと呼ばれる人々が多くいます。
高須院長はこの発言を信じ、有田参議院議員へ詰め寄ります[該当ツイート例1][該当ツイート例2]。
有田参議院議員が”しばき隊”と関係あるかどうか私は知りませんが、少なくとも「ナチスクリニック」系の誹謗中傷発言は、ナチス信仰者を見つけたネット民が面白がって書いているだけの有象無象ですね。そこに組織などありません。そのため、「有田参議院議員が黒幕だ」というのはネトウヨの妄想であることは確実でしょう。あえて言うならば、最初に言い始めた木野さんが黒幕だと言えるかも知れませんね。なので有田参議院議員は自分は黒幕ではない、通報者を過信しすぎではないかと返事をしています[該当ツイート例1][該当ツイート例2]。
しかし高須院長は、自らが一度信じたものは覆さないようでした。とにかく有田参議院議員が全ての黒幕であると考え続け、訴訟を起こすなどの宣言もしていきます。罪名が何なのか私には分かりません。また有田参議院議員も「だったらかかってこいや!」とばかりに、受けて立つようです。
海外が動き始める
高須院長が有田参議院議員へ訴える!訴える!と言い、有田参議院議員も「かかってこいや!」と構える中、海外で動きがあります。
アメリカの人権団体Simon Wiesenthal Center(SWC)が、高須院長が所属しているAmerican Academy of Cosmetic Surgery(AACS)、アメリカ美容外科学会に対し、高須院長を追放するように要求することを決め、まず速報としてFacebookに告知をしました。しかし書き始めに誤字をしており、学会名をAmerican Academy of Plastic Surgeons(AAPS)と表記しています。もちろん文の途中からは正しくAACSに戻っています。高須院長がAACSの会員であることはココから分かります。
高須院長はこれを受け、自分はAAPSに所属していないと言います。所属していないところからどうやって追放するのかな~と挑発的な発言を繰り返します。まぁ確かに、未所属の団体から追放はできないので、本当にAAPSに対して送られたのであれば彼の発言は当然でしょう(若干挑発的ではあるが、問題はそこではない)。
僕はそこのメンバーではない。どのように追放するのかな(*´∀`)♪なう https://t.co/nRiHSYRpp9
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2017年8月23日
この誤表記はどっちが正しいのか。
SWCはAAPSとAACSどっちに要求を送ったのか。
しばらくは不確定な情報が行き来していましたが、現在はAACSで確定しています。
人権保護団体(サイモン・ウィーゼンタール・センター)が高須克弥氏の所属する団体の理事長に送った手紙を新たに公開します(8月21日付け)。まだ序盤の入口です。 pic.twitter.com/U9plyvmn6z
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2017年8月23日
SWCが正式な書面を作成して公開しました。全ての誤字が修正され、AACSで統一されていることが分かります。またこの書面を見る限り、どうやら木野さんの英訳が伝わるよりも前から、SWCは独自に高須院長のナチス擁護発言を見つけ、彼の発言を収集して準備していたようです。木野さんの英訳はキッカケの一つだったということでしょう。
高須院長はこれを受け、しばき隊翻訳チームの誤訳だと言います[該当ツイート]。”しばき隊”という組織に翻訳チームがいるのかどうか私は知りませんが、翻訳以前に原文がAACSで、高須院長はそこに所属しています。しかし、高須院長はAACSというワードを決して見ず、日本語に翻訳した時に整形外科、形成外科、美容外科、どれにするかに固執しているようです[該当ツイート]。客観的に見て、そこはどうでもいいと思うのですが・・・。
SWCがAACSへ勧告をしたことで、イスラエルのJerusalemPostがそれを報じました[該当記事]。
JerusalemPostの記事でもAmerican Academy of Cosmetic Surgeryと表記されていますので、やっぱりAACSであることが分かります。AAPSは、SWCの最初の速報の誤字以外では、どこにも登場していないのです。
状況が状況で、また言い争いの場がツイッターです。そのため高須院長を批判する人も擁護する人も多く、「成形」「形成」「整形」と似たような言葉がガンガン飛び交います。私達のような非専門家には、高須院長を「美容成形」「美容形成」「美容整形」どれで言い表せばいいのかよく分からないし、わざわざ気にせず変換で最初に出てきた漢字を使うでしょう。そして高須院長はそこから不適切な言葉を拾い上げて「彼らはバカだ」と言い続け[該当ツイート例]、AACSについては見ようとしないまま、時間が過ぎていっているという状態です。
で、今ここ
そして今に至ります。細かいところにガンガン飛び火しているのですが、そこは無視し、あくまでも本流のみをまとめました。できるだけ正確に、客観的に、情報源付きで情報を整理したつもりですが、もし間違っている部分があればご指摘ください。
日本ではナチス賛美はあまり気にしない人が多いのですが、海外は違います。決して容認できない極悪非道組織がナチスであり、それを称賛することは万死に値するとまで思われてしまうでしょう。高須院長が挑発を繰り返すことで、どんどん日本の評判が悪くなっていきます。ええ、「日本人の一人が」という解釈はされず、「日本が」という解釈をされます。日本でも、韓国人が犯罪を犯したら真っ先にネトウヨが「韓国!韓国!」って言ってますよね。国際ニュースでは、個人ではなく国を見るのです。
私には、ネトウヨのようなエセ愛国心はありません。日本に住む日本人として普通に日本が好きな程度です。だから国際的に日本の評判が悪くなることは嫌です。高須院長が暴走を続ければ、日本の評判はますます悪くなるでしょう。どうか、発言を撤回して欲しいと思います。
コメント コメントは承認制です。
いいまとめ記事だね。今後も続報おねがいします。
ほんとネトウヨ大好きだなあんた
確かに日本に住んでる私たちは
「美容整形の変なオッサン」程度で済みますが
海外からすれば
「多数のTV番組のスポンサーを務める、日本の美容医学の重鎮」
ってなるわけですからね
そら日本の評価も落ちますね
まとめありがとうございました
木野氏が「エストニア」にいたというのも大きいのでは?
元々ロシア領でナチやソ連に影響を受けた土地柄なので。
木野氏が「欧州脳」で「ナチダメ」と語り高須父が激怒暴走したことで話が大きくなってきたような。