ネットを騒がせてる話題として、今これがわりと熱いですね。というわけでまとめてみましょう。
そもそもアスクとは
有名な販売代理店です。比較的大きな中間マージンを取っており、日本でのPCパーツが「ドル円相場から考えて明らかに高くね?」と感じる最大の原因となっています。これについては4gamerの下記記事が詳しいでしょう。
4gamerの記事にも書かれている通りに、日本という小さな国の小規模なPCパーツ市場のためだけに、メーカーが日本法人を用意し、流通ルートを築き上げるのは非現実的です。日本程度の市場では、販売代理店にまとめて買って貰った方がいいわけですね。その販売代理店が中間マージンを取ることもまた当たり前の話です。商売ですから。ただアスクはその中間マージンが高めなだけで、それでも売れるから今まで生き残っている会社です。
需要があるから売れる。だからアスクはある。一方的にアスクを批判することはできません。もちろん、今は国際便での通販も手軽にできる時代ですから、米アマゾンから個人輸入するというのも簡単にできます。嫌なら買わなければいいという自由が消費者にはあります。昔とは違います。
発端はThreadripperの超高値
さて、アスクについて軽く述べたところで、AMD Japanがなぜアスクかもという話が出てきているのかという本題へ移っていきましょう。この話は、Threadripperが超高いというところから始まりました。
AMDの新CPU Ryzenはその性能・値段が素晴らしく、長らくインテル一強状態だったCPU市場に新しい風を吹き込んだことで有名ですね。インテルはそれに対抗すべく値下げを進めており、「やはり競争は素晴らしいな!」というのを消費者として見てて思います。
そんなRyzenの超ハイエンド版、Threadripper。北米価格では999ドル、まぁ高めに言っても現在のドル円レートそのまま換算すれば11万円未満なのですが、日本では税別で14万5800円となりました。税込みだと15万7464円ですね。日本市場では高くなるのは当たり前と言っても流石にこれは高すぎるということで、多くの人が米アマゾンから個人輸入する形を選びました。1個10万円を軽く突破するCPUを買うのは、コアな人くらいですからね。
「いや~、多少高くても手軽に買えたらいいんだわ」という人がいてこそ成り立つのがアスクの商売ですが、流石に購買層がコアすぎるために全然売れなかったのでしょう。発売からわずか2週間で2万円の値下げが発生しました。またこの値下げは販売代理店、すなわちアスク主動によるものとなっているようです。
今回の値下がりは「国内代理店からは価格改定と聞いている」という。
2週間で2万円。2万円は決して安い金額ではありません。流石に反響が大きく「わざわざ高い値段で買った俺がアホみたいだ!アスク○ね!」という批判が殺到しました。その後AMD japanがツイッター上で、対応はAMD事務局で一本化すると発表します[ツイート1][ツイート2]。そしてその対応内容が下記となります。
AMD Ryzen Threadripperの件でユーザーの皆様に多大な迷惑と混乱を招きましたことを改めてお詫びいたします。
今後のサポートについて、下記リンクにてご案内いたします。https://t.co/Ig0tY8QKJ8
今後ともAMD製品をよろしくお願いいたします。— AMDJapan (@JapanAmd) 2017年9月7日
なんだこのURLはと注目を受ける
AMD Japanが公開した対応内容告知用PDFファイル[リンク]。
対応内容のよりも、Dropboxにアップされたことと、メールアドレスにネットユーザーは驚きました。
常識的に言って、こういった発表は自社ドメイン内で行います。メールアドレスも自社ドメインのものを用います。PCパーツメーカーGIGABYTEの日本法人までもがこれにびっくりします。
(´-`).。oO(僭越ながら、AMDさん…自社ドメインにニュース・リリースとして公開し、メールアドレスも同様に自社ドメインの方が……)
— GIGABYTE Japan (@GIGABYTE_News) 2017年9月7日
なぜ、pdfを自社ドメインではなくDropboxにおいているのか。
AMD JapanはPDF1つすら自社ドメインに置かせて貰えないほど発言力がない現地法人なのか。
なぜ、メールアドレスすらも自社ドメインではないのか。
AMD Japanはメールアドレスすら作って貰えないほどの現地法人なのか。そもそもtanoeruとは一体なんなのか。
色々な疑惑が浮かび上がりますね。ちなみにAMDの日本法人は昔は[amd.co.jp]で独自にページを持っていたのですが、だいぶ前から[amd.com/ja]にリダイレクトするようになり、日本支社は形骸化してるんじゃねっていう印象を受ける状態になっています。
たのえるとは
co.jpは日本の企業用ドメインですので、原則として会社組織が使用するドメインとなります。Whois情報からこれが「株式会社たのえる」のドメインであることが分かります。名前はそのまんまですね。また「熊谷貞春」という方の名前が登録されています。
そして2006年のGMOのサイトより、「熊谷貞春」さんがアスクのPR担当であることが分かります。まぁ10年以上前の情報なので「今も同じ役職か?」と問えばそれはないと思いますが、少なくとも関わりがないことはないでしょう。ちなみにGMOインターネット株式会社の社長は熊谷正寿さんです。ご家族ですかね。
また2011年6月時点でもアスク社員であることが確認できます[URL]。役職は不明。
何がおかしいのか
この記事ではここまで一貫して、このツイッターアカウントを、自称する名前の通りにAMD Japanと表記してきました。
で、AMDの日本支社の名前は日本AMDなんですよね。AMD Japanではありません。
このツイッターアカウント、よく見るとツイッター社が身分確認をした認証バッジもついていませんし、わりと最近に作られたアカウントだったりもしますので、そもそもこのアカウントが本当にAMD社のものかどうかも怪しいです。このアカウントが見つかった当時から本当に公式?かと言われてましたね。Impressが問い合わせて返答がないということは、AMD本社から見ても肯定も否定もせず正体不明にしておいた方が都合が良い存在なのかも知れません。
ThreadripperはAMDの商品です。AMDには日本支社がありますが流通ルートを自分たちでは持ち合わせておらず、販売代理店のアスクがまとめて買い上げ、そこから小売店、消費者と流れていきます。今回値下げを決めたのはAMDではなくアスクなので、AMDの利益は確定済みで、アスクが自分の利益を削って値下げするはずです。
緊急の値下げで販売済みのものも遡るために、どこかが一元対応する。それは分かりますが、やるなら値下げを決めたアスクであって、日本AMDではないでしょう。そしてなぜか株式会社たのえるが「AMD Japanが対応します!」と言い始めたのです。これを図示すると次のようになります。
部外者が勝手に返金してる!
これでは明らかにおかしいので、裏ではどこかと結びついている必要があります。
ではどこが結びついているかというと、株式会社たのえるはアスクの(元?)社員である熊谷正寿さんが代表として登録されていて、返金自体もアスクが決めたことですから「アスク=たのえる」と考えるのは自然でしょう。
そしてこの株式会社たのえるはAMD Japanを名乗っていますから「たのえる=AMD Japan」でもあります。すると「アスク=たのえる=AMD Japan」ですね。
また「日本AMD=AMD Japan」かどうかは不明です。しかし勝手に名前を使われてAMDが黙っているとも思えないので、別の組織だとしても最低限、公認はされているでしょう。
もしかして、こうじゃね?
これらをまとめると、次のような疑惑が出ます。あくまでも疑惑であって確定ではないことを事前に明記しておきます。
- 業績が悪かったAMDは日本支社を畳むことにした。
- 支社の閉鎖は企業イメージの低下に繋がりそうなので、書類上は残すことにした。
- 日本AMDが事実上消滅しため、日本でのAMDの広報活動はアスクに委託した。
- アスクの名前でAMDの広報をしても・・・なので、株式会社たのえるを経由した上でAMD Japanという謎組織を自称することにした
- AMD公認の元、アスクが日本AMDのように振る舞っている。
- 公認なだけでAMDではないので、PDFを置く場所も、メールアドレスも、AMDドメインではない。
これが法的に問題あるかというと、別にそんなことはないと思います。まあ、ユニセフに対する日本ユニセフみたいなものですかね。似た名前を使うことを許可している公認組織であり、協力関係もありますが、決して同一の組織ではないということです。
追記
AMD Japanのアカウントが消滅しましたので、別記事に掲載。
コメント コメントは承認制です。
わかりやすいまとめ、ありがとうございます
流通でアスクを使ってはいるけど、価格や店舗への納品数なんかはAMD側で決めてたって何処かで見たな
だからAMD一括なんだと思う
ユニセフについては日本ユニセフが誤認させるような宣伝をしてたけど関係は公にされてるからね。
今回の謎のツイッターアカウントとその対応については、彼らは何も公にしてないので公認というより黙認に近い。
当然消費者はないがしろなんで反感買って当然。
グラボに限って言えば日本のハイエンドの売上は世界第2位です。しかも日本市場は米中や北米には及ばないもののかなり売れてる方だそうです。だから市場が小さいという理由ではアスク税の正当な理由にはなり得ない