ようやく? ついに? 正式発表されたスイッチ。まだまだ隠された情報はあるものの、ほとんどは察することができますので、まとめた上で私の感想を語りたいなと思います。
まずは基本のおさらい
スイッチの基本コンセプトを一言でまとめると、ズバリ! PSVita2 です。
出先でも家の中でも。1つのハードで同じゲームが遊べます。家では大画面、外ではケータイ機。それがスイッチの基本コンセプトです。
Nintendo Switchは、家庭用据置型テレビゲーム機でありながらご自宅か外出先かを問わず、テレビモニターの前を離れて本体を持ち出して遊ぶことができ、一人でも大勢でもどこででもお楽しみいただける、かつてない娯楽体験を世界中の皆様にご提供いたします。
なんかもうこれってPS4をPSVitaでリモートプレイするような関係なんですよね。
もちろん、PS4のリモートプレイはただ映像を飛ばしているだけであり、操作に素早い反応が求められるアクションゲームには難しいところがあります。万全とは言い難いものです。スイッチでは、全ての処理はケータイ機サイズの本体で行われ、ドッキングステーションにセットすれば据え置き用モード、外せばケータイ機モードへと切り替わる進化系です。
基本的な情報をザッと羅列しておきましょう。
- 基本はケータイ機。
- ケータイ機状態であっても、コントローラー部分を取り外し、外出先で「ミニ据え置き機」としてプレイすることもできる。
- 本体バッテリー。左コンバッテリー。右コンバッテリー。脅威のトリプルバッテリー。
- ケータイ機状態であっても、コントローラー部分を取り外し、外出先で「ミニ据え置き機」としてプレイすることもできる。
- 性能はケータイ機ベース。
- 据え置き機市場ではAMDばかりな中、nVidiaを選択。吉と出るか凶と出るかは未知数。
- コントローラー部分を1つずつ持てば、2台の本体で4人マルチプレイもできる。
- 操作性は最悪。左右非対称な形状、LRボタンの位置・・・好意的に解釈しても「ミニゲームレベル」が限度。
- ドッキングステーションにセットすると据え置き機モードになる。
- ドッキングステーション内に高性能GPUは存在しない。
- ドッキングステーションにセット中は本体ディスプレイが隠れるデザインなので、2画面ギミックは無い。
- タッチパネルの存在は不明。
- PV中にタッチパネル使用のシーンはない。
- 任天堂は「タッチパネルあるorない」について、正式コメントを拒否。つまり、無いと決まったわけでもない。
- 最低価格、基本セットの内容は不明。
- 想定価格不明。また同梱品も不明。例えば、ドッキングステーションがセットに含まれるか、オプション品として別売りなのかなど。ただしコンセプト上、流石にドッキングステーションは同梱品になっているとは思われる。
- サードタイトルがどれだけ集まったかは未知数
- PV中のスカイリムHDは、は✩ま奇行のような捏造サイトが報じたように「任天堂が無断で使用した」ではない。ベセスダは正式に映像を提供。ただし、現時点において特定のタイトルや内容について言及することはできない、という状況。
- PSVita2、もしくは、WiiUの本体をゲームパッドに内蔵したとイメージするのがベスト
理想と現実
漫画アニメの世界では、近未来において、一枚の薄っぺらい板が莫大な情報演算処理能力を備えて何でもできちゃいますね。理想で言えば、据え置き機とケータイ機は融合し、それ一つで外でも家でも遊べる超小型万能デバイスは待ち望まれているのです。一般的には、スマートフォンがその立ち位置へ到達した時、パソコンという概念を飲み込むと言われていますね。マイクロソフトはWindows10でそれに備えて準備を進めています。
が、現時点での現実では、そう簡単には理想通りにいきません。現在の地球の技術では、高性能な処理能力には多くの電力が必要であり、それに伴い発生する多くの熱量を放出する冷却機構が必要になります。バッテリーで動作し、持ち運べるサイズに収める必要のあるケータイ機では、消費電力を下げ、発熱量を減らさなければいけません。すると性能が下がります。ゲームとは特に性能を要求する分野です。
NVIDIAの最新のアーキテクチャ、Pascal世代のGPUを備えた最新モデルですから、ケータイ機としては高性能です。ですが、据え置き機としては絶対的に性能が足りません。PS4 Pro、そしてXbox Scorpio、来るべき4Kゲーミング時代において、ケータイ機サイズに収まるSoCではどう足掻いても絶望的な性能差があります。
これが例えば、ドッキングステーション側により高性能な外付けGPUが備わっていれば、据え置きモード時にはより高画質にレンダリングというのが可能にはなります。そういうゲーミングノートPCも実際に存在しますよね。もちろんコストも増しますが、少なくともグラフィック問題についてはある程度の解決ができます。
が、ドッキングステーションには外付けGPUは備わっていません。ドッキングステーションはあくまでも充電・テレビ出力(=HDMI)の機能だけを備えます。ソースは任天堂。
Nintendo Switchドックの主な機能は、TVへの出力と、本体の充電、電源の供給です。
現時点のコンピュータ技術では、高性能な一枚の板で全てを賄うのには無理があり、良いとこ取りをしようとしても互いの悪いところが引っ張り合って自滅するのがオチでしょう。二兎を追う者、一兎を得ずとはよく言ったものです。
任天堂マジック
マリオをプレイ中
コントローラーを本体へセット
パッと外すと、瞬時にケータイ機モードへ。
これはすごい、超ハイスペックPCでも難しい超高速なモード切り替えです。
ん?
向こう側を向いている人が持っているのに、服の袖より手前に画面が・・・
完全にハメコミ合成じゃねーか!!
実際の画面切り替わり速度は、まだ公開できる品質になっていないのでしょうね。
また、PV中ではドッキングステーションへの取り付け、取り外しを非常にスムーズに行っていますよね。これも現実では、そこまでスムーズにできるのかどうか心配です。接続部分に少しでも固定があると、本体部分だけ持って持ち上げようとしたらドッキングステーションも一緒に持ち上がりますよ。
ドッキングステーションの重さが十数kgだったり、ネジで固定されていたり、もしくは一切固定せず”触れてるだけ”で接続していなければ、あそこまでのスムーズな脱着は無理でしょう。もし”触れるだけ”なら、購入して1年2年建つと、接触不良でテレビ側出力になったり本体出力になったり勝手に切り替わるようになってしまう可能性もあるので、ある程度は固定が必要です。が、固定するとサッと外せない。
ターゲット層の変化が見て取れるが・・・
近年の任天堂は、Wiiからずっと「家族」をターゲット層にしてきました。CMでも何でも、おじいちゃんから孫まで仲良くプレイしているシーンが多くを占めています。
しかし今回は、20代かつ独身かなという層ばかりがPVに使用されています。それなりに自由に使えるお金を稼ぎ、自分の時間を自分の自由に使える層ですね。ターゲット層をそこへ切り替えたことは明らかなのですが、この世代、ポケットにまず確実にスマートフォンが入っていますし、ゲーマーであれば4K、VRといった新テクノロジーなどの魅力的なものがあります。任天堂ファンボーイでもなければ、わざわざスイッチを買おうと思うのかどうかは非常に疑わしいでしょう。
パートナーアピールが悲しい
Wiiの中期以降から、WiiUでも延々と起こり続けた、サードタイトルの絶対的な不足。
今回はサードタイトルもたくさん用意したいのか、強烈にパートナー企業をアピールしています。
unityのような”ただのゲームエンジン”や、レコチョクのようなゲーム会社ではないものまで入れて水増しし、どうにか50社くらいかき集めたようです。パートナー企業の多さを強烈にアピールしたい気持ちが察せられます。
でもパートナー企業なんて曖昧なもので、ソフト出すと決まったわけでもないのが現実ではあります。
XboxOneだってパートナー企業は多かったんですよね。むしろスイッチより多かった。変な水増しせずに50社くらいありました。
現実はどうか、まぁサード壊滅状態のWiiUよりはソフト多いんだけど、日本だとXboxOne本体がそもそも売れないんですね。日本一ソフトウェアなんてXboxOneパートナー企業だけどXboxOneにソフト供給0本ですから、パートナー企業=ソフト供給確定というわけではない。
近年のゲーム市場は、4K・VRのような超ハイエンド市場と、スマホのようなミニゲーム市場への二極化が進んでいます。ケータイ機はスマホに食われました。小中高、大学生のポケットには、3DSやVitaはなく、スマートフォンが入っています。
そんな時代において、果たして「ケータイ機では最大」の中途半端な性能にソフトを供給してくれるサードが現れるのかどうか、疑問を感じずにはいられません。数年後にはスマートフォンがスイッチの性能を追い抜きます。WiiUが「ゲーム機では最大」と謎のアピールをして数ヶ月後にPS4が「GDDR5 8GB」となって憤死したことは記憶に新しいのですが、それと同じことが起こるのではないでしょうか。性能が足りないため、PS4、XboxOneとのマルチ展開も絶望的でしょう。
どうしても、売れる未来が見えない。そんなスイッチでした。
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