公立校でもここまでできる:“1人1台iPad”で変わる小学校教育――ゲーム感覚で教室に活気
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1402/14/news070.html
IT機器を利用した授業形態。
過去にはニンテンドーDSを用いたシステムが作られ、うまく使いこなせず倉庫に600台ぶち込んで終了したりしていますね。
こういったIT機器を授業に活用するという発想はどこからでも出てきます。第一印象として非常に次世代的です。目的のために手段があるということを念頭に置き、時と場合に応じて使い分けることで、効率向上を図ることもできるでしょう。
手段と目的、時と場合。ここが非常に大切であり、そこを間違えると失敗し、倉庫に眠ることとなります。
手段と目的の逆転をしてはいけないのです。DSの失敗例では
画面上に手書きする文字を機械が読み取る際に、「a」と「o」、「u」と「v」などが正しく識別されなかったことがあった
文字を一つずつ入力していくため、「英単語を一つの固まりとして理解できないのではないか」と懸念する
これが主な失敗要因です。
これは「DSを使おう」と考えて作られた結果起こってしまったものと考えられます。
「英語の勉強をどう効率良くしようか」と考えた場合、手書き入力系の機器では確実に発生すると想定できるからです。
「DSを使った教育システムを作ろうそして予算ゲットしてウハウハ」と考えたため、DSのデメリットに、実際にやってみるまで気づけなかったのです。手段と目的が逆転しています。大切なのは英語の勉強であって、DSを使うことではありません。
では、今回の小学校でのiPadの事例を見てみましょうか。
ひらがなの練習に、iPadを利用。指でなぞり、採点してくれうそうです。
えっとですね、ひらがなに限らず文字を書く時、私たちはどうやって書くでしょうか?
基本的にはペン、もしくはキーボードによるタイピングがほとんどだと思います。キーボードでのタイピングは変換を行うため、正直言って書けなくても問題ありませんね。読めればOKです。文字を書くという行為のそのほとんどは、ペンによって行われます。少なくとも指でスリスリして書くことは滅多になく、それを上手く出来るようになる必要もありません。ペンで書ければ指でスリスリして書けますが、ペンを使う行為はペンを使って練習しなければ上達しません。
大切なことは、その文字を記憶することと、可能な限り綺麗にペンで書けるようになることですね。
指でスリスリする必要性はどこにもありません。
記憶への定着率は紙と鉛筆を使用した方が良い傾向にある、という研究結果もどっかにありました。
これは典型的な失敗例です。手段と目的が逆転してしまっています。「iPadを使う」ことが念頭に置かれ、大切な「文字の練習」を見ていません。iPadを使ってどうやって文字を練習しようかーという考えによって作られています。吸収力の高い大切な時期に、こんなゴミみたいな授業を受けさせられる生徒がかわいそうです。
IT化、機械化によって大切なことは効率を良くすることです。10人分の作業をこなすロボットを導入したが、そのロボットの保守メンテナンスに100人を要することになると効率悪くなります。従来方式の方が10倍マシ。
例えば辞書。これは紙辞書から電子辞書に完全に置き換わりましたね。
電子辞書が世に出てすぐの頃は、紙辞書を使えという老害思考停止状態教員がいましたが、今ではどこでも電子辞書OKです。なぜ電子辞書は、紙辞書を駆逐することができたのか。それは辞書を引くという行為の目的が、調べたい言葉の意味を知ることだからです。「引く行為」は手段に過ぎず、その行為自体には何の意味もありません。電子辞書はその「引く行為」を短縮し、すぐに目的となる「意味」まで辿り着くことができます。これは機械化による、非常に普通で何の問題もない効率化の典型的なサンプルでしょう。
ただ、電子辞書の小さい画面は可読性が悪いので、語句の理解という面では紙辞書の方がいいとは思いますが・・・。
「iPadを使った方が良い」と想定される小学校での使用シーンとしては、教科書が挙げられるでしょう。
ノート側ではなく、教科書側。教科書としてiPadは使い勝手が良いと考えられます。特に英語。
どっかの学校の、iPadを使用した授業。
ここでは英語のリスニングにiPadを使っているのがわかります。これは悪くない使い方だと思われます。
ノートとして用いているわけでもありません。これもGood.
日本人教師のほとんどは、英語の発音が”カタカナ英語”です。ゴミみたいな発音を聞いて、正しい英語が学べるわけがありません。正しい発音の英語音声で教育を行うべきであり、可能であればアメリカ人やイギリス人を雇うべきですが、それが無理な場合、収録された音声に頼ればいいと思います。
録音音声は一方的な語りかけで、双方向の会話ではないというデメリットもありますが、発音を学ぶという点においては、カタカナ英語なんかより圧倒的にマシです。
この動画は中学校か高校なので、ペンに慣れる必要のある年齢ではないのですけども、小学校ではノートとしてiPadを使ってしまうとペンに慣れないまま育ってしまいます。そして”ペンの方が早い”ですよね。紙と鉛筆効果もあり、学習効果はペンの方が上です。
自由帳じゃあるまいし、ノートとしてiPadを使うことは逆に非効率化されます。iPadはノートになることはできません。
先ほどとは違う学校の、iPadを使用した授業。これはかなり悪い使用例です。
博多高等学校には申し訳ありませんが、クソ授業であると私は思います。
iPadを利用し、生徒の出欠管理をしているのがわかりますね。教師のiPad操作で貴重な授業時間も削られていく模様。
出欠確認なんて「おるかー?」「おらんなー」で、さっさと授業に入ればそれでいいです。
実名顔写真入りで電子的にキッチリ管理する必要もなんてありません。キモい監視システムですね。
また生徒は授業中、iPadをどう使用しているのでしょうか。
パワーポイントのスライドが手元のiPadに表示されることはないようです。
教師の指示で、Yahooで検索していますね。「プロ野球選手 スペース 年俸」とかいう指示で。そんなもの必要か?
検索結果をパワーポイントにでも入れておけばいいと思います。生徒に操作させる必要性なし。時間の無駄。
謎の小テスト、最初にやった小テストとくらべてxx人満点が増えた。では終わります。うわ、どうでもいい。
ドットマップによる理解度把握。それを次回の授業や、放課後アフターケアに活かせれているのかな? たぶん活かせてない。
iPadを使おうということを念頭に置いて作られた授業でしょうね。
無駄な出欠確認、とりあえず使わせておけという意識が丸見えの検索指示。小テスト。全部無駄。
褒められる部分は、ノートとして使ってないくらい。典型的な、道具に使われている授業。手段と目的の逆転。こんな授業させられている生徒がかわいそうです。私ならブラウザゲームをプレイし始めるでしょう。
教育現場でのIT機器の正しい使い方とは、学習という目的のためにある手段をより効率的にする、というものです。
これを間違えてはいけない。目的のために手段があるのです。iPadは手段に過ぎません。
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