こんなツイートが私のTLに流れてきました。
女性が結婚や出産育児などで仕事をやめる傾向にあるのは、わざわざ統計を見なくても社会全般一般的に認識してることですね。別にそこを否定するつもりはありません。
このツイートに対するリプライや引用リツイートを見ていると、たとえばクソジャップの女性差別により雇用が失われているだとか(意訳)、仕事辞められるなんていいね(意訳)とか、いろんな意見が見受けられました。
世の中多くの人は、できれば仕事したくないなーと思いながら仕事していて、辞められるもんなら辞めたいと思っています。もちろん仕事をしたい人もいます。つまり何を理由で仕事を辞めるかの数そのものは重要ではなく、仕事を辞めることが本懐だったのかが重要だと私は思いました。実際のところそこはどうなんでしょうね。というわけで、この人と同じ統計を見てみることにしました。
このグラフは、下側の注釈にあるように2017年の就業構造基本調査を元にしているようです。
つまりココですね。この中でも更に、a131の表が元データなんだろうと思います。

このデータを見てまず最初に気になったのは、これ前職を辞めた理由ですね。
辞めた後、新たな仕事に就いている人もいます。というわけで単純にこれで雇用が失われたというのはデータを読めない人の意見ですね。もちろん、グラフ化されたものにその要素は入ってないため、あのグラフだけからそれを読み取れというのは無理がありますけど。
また「家族の転職・転勤又は事業所の移転のため」という離職理由が、グラフでは「家族の転職・転勤」に省略されていたりもします。とは言えここはまぁ省略の範疇でしょう。
またa131だけでなくa132を見ると面白いデータがありました。それは単純な総数ではなく、
・現在は働いている
・現在は働いていない
・現在は働いていなくて、就業を希望する人
・現在は働いていなくて、求職中の人
という内訳です。このあたりの行動は、実際に本人の希望はどうだったのかを予想するのに役立ちます。ココを見てみましょうか。
前職が正社員で、結婚を理由に仕事をやめた人
男性:35,200人
女性:292,000人
そのうち現在は有職である人
男性:34,500人
女性:129,000人
そのうち現在は無職である人
男性:800人
女性:163000人
そのうち就業を希望する者
男性:800人
女性:95500人
これをわかりやすくグラフにしてみます。
正社員だった人が、結婚を理由に仕事を辞めた。今は仕事があるのか無職か。

正社員だった人が、結婚を理由に仕事を辞め、今は無職の人が、就業を希望しているのかどうか。

はい。なんだか違う見え方がしてきませんか。
仕事を辞めたい。でも働かないと生活費が稼げない。よし、結婚して男性に生活費を稼がせ自分は専業主婦になろうという女性がわりといることがわかります。高度成長期あたりが最も顕著だったと思いますが、日本は専業主婦が多い国です。
さて、この統計からは55.8%のうちの41.4%、つまり4人に1人くらいが希望して無職となります。それって本人の希望通りなので何も問題ないですよね。まさか本人の希望を捻じ曲げて無理矢理働かせることが理想なのでしょうか。違うと思います。
また、女性憎悪を拗らせている人は専業主婦傾向を寄生虫だのなんだの言うのですが、それは単なる嫉妬です。自分自身、働かず生きていきたいのにできないため、それを実現している人が多い女性に嫉妬しています。じゃあ自分も専業主夫になればいんですよね。やってる人はやってますよ。
話が逸れました。えー、対する男性は100%の割合で、働きたいのに結婚を理由に正社員辞めてるっぽいんですよね。希望して無職になってる人ゼロなんです。これ、男性500万人の統計ですよ。500万人統計とって100人いなくて誤差として丸められてゼロになるほど、希望して無職になる男性がいません。
もちろん、正社員ではなくパート勤務を希望して辞めた男性もいるでしょうから、一概に100%が希望通りになってないとは言いません。しかしそれは女性にも言えます。ただここから読み取れる傾向として、仕事やめたくて辞めた人、女性の方が多そうです。
また今回の発端となるグラフは離職理由を結婚・出産・転勤の3要素に限定していますが、元の統計ではもっと多くの離職理由があります。それぞれの男女比をグラフ化してみました。

このグラフは全年齢で作りました。
No8結婚、No9出産育児、No14家族の転職転勤または事業所の移転、そこが女性の割合が突出してるのは事実ですね。逆に男性が多いものを見てみましょうか。
男性が一番高いのはNo4定年です。
続いて、No3業績不振や先行き不安、No6収入が少ないと並びます。
ちょっと気になったのが、No3の業績不振や先行き不安による離職が男性多数な一方で、No1会社倒産や事業所閉鎖は、これも男性多数ですが、no3と比べると女性の割合が高まっています。
こういうところを見ると、男性は仕事が重要視され、定年まで勤め、高い所得を要求されるという世間一般的に言われている傾向がそのまま出ています。なんせ、会社倒産、事業所閉鎖というのはほとんどの場合、社内の人たちは雰囲気で察しているはずなんですよ。この会社ヤバいなって。それでも自ら辞めて次を探さない女性が多いわけなんですね。それは、女性は男性ほど仕事が人生の主軸となっていないからかもしれません。倒産して無職になってから次を探せばいいという傾向があるのではないでしょうか。
上で示したのは各理由ごとの男女比ですが、男性内、女性内の比率を見ても実際にそれは現れています。No2人員整理や勧奨退職も含めて性別ごとにグラフ化するとこうなります。

明らかに、女性は会社が倒産、事業所閉鎖になるまでいる傾向が高く出ていますよね。
安定して所得を得続けることが期待される男性は、会社がヤバそうだと思ったら自分から辞めて次を探し、倒産まで残らない。倒産直前、会社が人員整理でクビにする時は男性の方が狙われやすい。女性は倒産してから次を探す(ことができるということは配偶者の稼ぎがある。)
・・・というところを見ていくと、男性には男性の、女性には女性の、それぞれ違った生きづらさがあるんだなと感じますね。働くことを強いられる男性。家庭のことを強いられる女性。どっちも大変そうです。独身の私は働くことも家庭のことも全部一人でやってますけど。
こういうデータを見て、女性だけ何かを強いられているかのような特定の主張を叫ぶのは、なかなかに、ツイッターだなーと思いました。まる。
コメント コメントは承認制です。